秀吉の天下統一以後、安定した社会が構築されていった近世においては、時間が経過するなかで、地域性豊かな食文化が生まれてきました。近年の発掘調査では、各地の町や村で暮らす人たちの食生活の実態が明らかにされてきています。
同じ町の中で暮らす町人においても、所有する食器や什器の内容に違いが見られることがこれまでの発掘調査で分かってきています。また、同じ器種を大量に所持する屋敷もあり、飲食を提供する施設と推定できる調査例もあります。
こうした町人の食文化の実態を再検討すると共に、同じ町で暮らす武家や公家といった異なった階層の食器や什器、さらには貝殻や魚骨などの食物残滓とも比較し、町人の食文化と違いがあるのかを見ていこうと思います。
考古学において食文化の検討対象にあたる資料はいわゆる食器や什器、そして貝殻や魚骨などの食物残滓であり、こうした発掘資料を材料に近世社会の多様な食文化を考古学的に検討することは可能であると考えます。
今回の大会では、16世紀後半から19世紀後半までを対象範囲として、発掘調査成果から近世における食文化を検討します。同じ地域の町人と武家あるいは公家など、階層による比較を行い、それぞれの時期的な様相の変化を検討し、食膳具・調理具の遺物組成や食物残滓を基にした食文化の差異について考古学の視点からアプローチし、その一端を明らかにしようとする試みです。
■開催日 : 2019年12月7日(土)・8日(日)
■開催地 : 大手前大学さくら夙川キャンパス A38教室(本館3階)
〒662-8552 西宮市御茶屋所町6-42
■アクセス:阪急夙川駅南へ徒歩10分
JRさくら夙川駅西へ徒歩10分
阪神香枦園駅北へ徒歩10分
■宿泊について: 大学周辺にはなく、大阪駅・三宮駅周辺にございますので各自で予約願います。
■懇親会について: 第一日目の夕刻から、会場周辺で、忘年会を兼ねた会費制の懇親会を設けたいと思います。懇親会に参加希望の方は、お店の手配の関係上、事前に事務局・嶋谷(shimatani-air★k7.dion.ne.jp / ★を@に変えてください。)まで御連絡下さい(詳細は追って申込者に別途御連絡致します)。
<大会プログラム>
■第一日目 12月7日(土)
13:00 受付開始
13:30 開会挨拶 松尾信裕
13:35 共催挨拶 森下章司 氏
13:40 事務連絡 事務局
13:45 講演 丸山真史 氏 「近世における動物質食料からみた食生活
〜動物考古学による視点から〜 」
15:00 (休憩)
15:15 報告1 石垣敏之 氏
「広島県(賀茂台地)における近世町人の食文化の一例」
15:55 報告2 安岡早穂 氏 「近世の食文化‐大坂城下町とその周辺の事例‐」
16:35 事務連絡 事務局
16:40 (散会)
18:00 (懇親会)
■第二日目 12月8日(日)
9:30 受付開始
9:55 事務連絡 事務局
10:00 報告3 加藤雄太 「京域の町人と公家の事例」
10:40 報告4 納屋内高史 氏 「出土資料から見た近世富山城下町の食文化」
11:20 (休憩)
11:30 報告5 藤掛泰尚 氏 「遺物からみる近世小田原宿の食文化」
12:10 (昼食・休憩)
13:10 討論(司会 市川 創・赤松和佳)
14:40 閉会挨拶 松尾信裕
14:45 事務連絡 事務局
15:50 (散会)
<紙上報告>
・須藤 梢 氏・斉藤 理 氏「桑名城下町の食を考える‐土器と動物遺体の検討から‐」
・柏本秋生 氏 「萩城下富裕層町人の家財~萩城跡(外堀地区)の発掘調査から~」