(終了しました)

関西近世考古学研究会 第33回大会

「近世墓地からわかること」

 

 

 「生きとし生けるもの」はいつかは死に至り、永遠の眠りに就くが、人間の場合は、後に残された家族や縁者が墓を営み、供養や儀式を挙行する。多くの場合、墓は意図的に地中に形成されていることから、考古学の一対象となり、全国的にも数多くの近世墓の調査事例が存在している。
当研究会では、1997年の大会テーマとして近世墓を取り上げ、西日本における各地の様相を整理・検討したが、その後の調査例も増加し、研究も深化してきている。
考古学的には、埋葬主体や副葬品等の検討から、各墓の年代比定に留まらず、被葬者の社会的・経済的階層性や、葬法や葬送儀礼の追及も実施されている。
一方、墓である以上、死者が葬られていることは当然であり、人骨が遺存しておれば、形質人類学的に被葬者の性別・年齢・体格や病歴・死因が判明する場合も存在する。近年では、DNAの分析から被葬者間の血縁関係を検討し、安定同位体の分析から被葬者の生前の食生活習慣や生活環境を推定し、子どもの場合は授乳・離乳の時期推定のアプローチも行われている。
また、葬送墓制を扱った文献史学的には、墓地の性格論や死者の埋葬行為に直接関わった「三昧聖」の実態研究も進展してきている。
こうした昨今の動向を踏まえ、今回の大会では、遺構レベルとしての「近世墓」に留まらず、遺跡レベルとしての「近世墓地」を主眼に置き、西日本を中心とした各地の近年の近世墓地の調査事例を再度整理した上で、考古学・形質人類学や葬送墓制史のそれぞれの観点から、「近世墓地から何がわかるのか」を学際的に探究していきたい。


【開催方法と開催日程】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

開催方法 : 対面で実施します。

開催日程: 2023年12月2日(土)・3日(日)

【開催地】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

開催地 : 大手前大学さくら夙川キャンパス E104教室(E棟1階)

      〒662-8552 西宮市御茶屋所町6-42

アクセス : 阪急夙川駅から南へ徒歩10分、JRさくら夙川駅から西へ徒歩10分、

       阪神香枦園駅から北へ徒歩10分)

【そのほか】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 宿泊について: 大学周辺にはなく、大阪駅・三宮駅周辺にございますので
        各自で予約願います。

懇親会について:当研究会としては実施しません。

マスクの着用について: 参加者各自のご判断に委ねます。

 

<大会プログラム>

第一日目 12月2日(土)

13:00  受付開始

13:30  開会挨拶  松尾信裕

13:35  共催挨拶  森下章司 氏

13:40  事務連絡  事務局

13:45  講演  木下光生氏「「生の近世日本史」から「死の近世日本史」を考える」

15:15  (休憩)

15:30  報告1 大庭重信氏「梅田墓(大深町遺跡OC19-1次)の発掘調査成果」

16:10  報告2 引原茂治氏「寺町旧域の近世墓地」

16:50  事務連絡  事務局

17:00  (散会)

 

第二日目 12月3日(日)

9:30 受付開始

9:55 事務連絡  事務局

10:00 報告3 嶋谷和彦「近世・堺の寺墓と三昧場」

10:40 報告4 佐藤浩司氏「葬制からみた小倉城下町の近世墓地」

11:20 (昼食・休憩)

12:20 講演  長岡朋人氏「江戸時代人骨のライフヒストリーの復元

‐生物考古学創生‐」

13:50 討論(司会 嶋谷和彦・原田将典)

15:50 閉会挨拶  松尾信裕

15:55  事務連絡  事務局

16:00 (散会)

 

<紙上報告>

・惟村忠志氏 「江戸の近世墓地」

・庄田知充氏 「加賀藩主前田家墓所とその家臣団の近世墓地」

・佐藤公保氏 「愛知県内の近世墓地の発掘調査例」

・宮澤浩司氏 「東海市・長光寺遺跡における近世墓地(子墓)の様相」

・須藤 梢氏 「桑名城下町の近世墓地‐法盛寺の調査事例を中心に‐」

・合田幸美氏 「千提寺西遺跡他における近世墓地について」

・稲原昭嘉氏 「明石市の近世墓地-雲晴寺跡、源太塚の調査から-」

・中森 祥氏 「山陰における近世墓地の考古学的検討」

・吉田 寛氏 「大分県下における近世墓地発掘調査の成果について」

・美濃口雅朗氏 「熊本市智照院細川家墓所‐熊本藩上級武士一族墓の調査‐」

案内PDF(約580KB)